ハックマナイトは、ラピスラズリ(瑠璃)を構成する主要な鉱物である、「ソーダライト」の亜種に分類される宝石です。
しかし、鮮やかな紺碧色をしているソーダライトと違い、ハックマナイトは特有の外見特徴を持ちません。
そのため、簡単に見分けることは難しく、他の宝石種であるスキャポライトと、混同されることもあります。
ハックマナイトの特徴は、特有の彩りの変化です。
通常、カラーチェンジは自然光下と白熱光下で宝石のボディカラーが変化するのですが、ハックマナイトは、紫外線を長時間照射(太陽光)することによって、ボディーカラーが変化します。
通常の光の下で見られる色は様々ですが、ハックマナイトに長波紫外線を照射すると、色相が主に赤紫〜紫色に変わります。
色の変化度合いは、紫外線の照射時間の長さに比例し、長時間紫外線を当てれば、短時間、紫外線を照射したよりも、より濃い色を呈します。
その為、ハックマナイトのカボションストーンに関してはぱっと変わる変わるわけではなく、じんわりとカラーが変わります。
また、紫外線照射を止めると、元のボディカラーへ戻るのも特徴です。
色の戻り方も紫外線照射時間に比例し、長く照射していた方が、よりゆっくりと色が戻ります。
これらの独特のカラーチェンジは、回数が限定されたものではなく、何度でも確認することができます。
紫外線照射というと、個人では難しいと感じるかもしれませんが、ブラックライト(専門的な照明器具店で購入可能)を使うことにより、カラーチェンジを見ることが可能です。
珍しい特徴を持つことと、宝石質の透明な結晶を得ることが難しいことから、大変な稀少価値を持っています。
そのため、0.05ct程度の小さなカット石でも、ストーンコレクターに注目される宝石です。